前に比べて猫を飼ってる人って増えたよねえ。
そうだね、猫好きの仲間が増えるのは嬉しいね。でも、心配なこともあるんだよねえ。
コロナ過で自宅にいる時間が増加したことで、
2020年から新たにペットを飼い始めた人は犬・猫共に15%ほど増加しています。
その中でも「散歩に行かなくてもいい」「一泊の旅行なら可能」などの飼いやすさから、猫をペットにする人は増加傾向にあります。
しかし、ふと不安になります。
一時の衝動で安易に飼い始めていないでしょうか。
以下のことをどの程度理解しているのでしょうか。
✓猫は長くて約20年は生きること
✓一生涯で約100万円以上の金額がかかること
✓病気を患う可能性があること
✓すぐに自分や家に慣れるわけではないということ
もし描いていた理想のような生活ができなくて保健所に連れて行っても、
保健所ではその子を育ててはくれません。
保健所に連れていくと、ほぼ100%殺処分されます。
今回は保健所に連れて行ったらどうなってしまうか、
どうして殺処分しなければならないのか、その原因についてお話しします。
殺処分が起こる原因
殺処分について理解できる書籍
猫の殺処分を増やさないために大切なこと
猫の殺処分とは
保健所で行われている殺処分とは
保健所に連れて行った場合、まずは引き取り手を待つことになります。
しかし、収容スペースや保護する間の金額にも限りがあるため、ほとんどの場合が数日で殺処分となってしまいます。
多くの殺処分の方法は「ドリームボックス」と呼ばれる機械の中で炭酸ガスによって窒息死させることです。
その身体には、もがき苦しんだようなひっかき傷が残っているそうです。
いきなり知らないところに連れてこられて、何もわからないまま暗くて寒い場所で苦しみながら死んでしまう…。
彼らの恐怖を考えると胸が締め付けられます。
また、人件費なども含めると、殺処分に年間数億円の税金が使われているとのことです。
動物を生かすためでなく、殺すために多額の税金が使われているのは悲しいことです。
近年の殺処分数
2019年における猫の殺処分は約2万7千頭、犬は5千6百頭です。
猫の方が犬よりも5倍ほど多いのは、
猫の生きていく環境が人間に近いことで苦情が出やすいことや、繁殖力が高くて多産であることが原因だと言われています。
以下は全国の犬・猫の殺処分数の推移です。
法の改正や、行政、ボランティア団体の活躍で年々減少してはいますが、それでもまだ年間2万以上の猫が殺処分の対象となっています。
どうして猫の殺処分が行われてしまうのか
保健所に連れてこられた猫はどこから来るの?
以下は、保健所の引き取り数の犬・猫の内訳です。
「飼い主からの引き取り20%」、これは意外と少ないように見えます。
しかし、本当に問題なのは「所有者不明の80%」です。
これは野良猫を指すのですが、ほとんどの場合が「人に捨てられてしまった猫」です。
一度飼い猫になった猫は外で生きていくことはできません。
自力で食べ物を確保できず、民家をさまよい通報され、保健所に連れていかれることは少なくないようです。
飼い猫を手放してしまう理由
上記の統計は、新潟県の動物愛護センターが出した犬・猫の引き取りの理由です。
猫が保健所に連れていかれる理由は「繁殖により増えた」が大半です。
しかし、猫を捨ててしまう理由は、飼い主の私情がほとんどでしょう。
飼い主の問題
飼い主側の問題で捨てられてしまった理由には下記のようなものがあります。
・自分が高齢になってお世話ができなくなった
・金銭的に余裕がなくなった
・結婚相手がアレルギーを持っていた
・成長して可愛くなくなった
上記以外にも飼い主側の理由で手放された事例はたくさんあります。
どうにもならない事情もあるだろうけど、大切な家族を一時の感情で手放されるのは悲しいですね…
多頭飼崩壊
多頭飼い崩壊とは、猫を去勢していないことで無秩序に増えすぎてしまい、経済的にも人的に飼い続けるのが困難になってしまった状態です。
多頭飼い崩壊の現場の多くは、掃除ができておらず不衛生で、お腹を空かせた猫であふれています。
不衛生で食事がとれていなければ、病気になってしまう子も少なくありません。
「手術はかわいそう」「お金がない」などの理由で去勢をしていなかったら、
1年で20匹以上までに増えてしまっていたという話はよくあります。
自分のために、猫のために、計画的に去勢することは飼い主としての責任です。
ペットショップから保健所へ
2013年の動物愛護法改正により、
保健所や動物愛護センターはペットショップからの持ち込みを拒否できるようになりました。
現在はペットショップで売れ残ってしまった動物は、ボランティア団体と協力して里親を探したり、ブリーダーに返却されるそうです。
とはいえ、悪質な業者によっては、店員が個人を装って保健所に持ち込んでいることもあるようです。
殺処分について理解できる書籍
殺処分について書いてある書籍を紹介します。
本によっては残酷な生々しい描写があるものもありますので、今回は簡単に理解できるものを紹介します。
ある犬のおはなし
こちらは犬が保健所に連れていかれ殺処分されるまでの絵本になります。
飼い主のことを信じ続けて、いつまでも待ち続けたのに裏切られてしまう。
あまりにも切ない話ですが、これが実際に起きている話です。
犬房女子 犬猫殺処分施設で働くということ
犬猫殺処分場で働くスタッフの話です。
あえて殺処分場という辛い現場に身を置いて、この現状を変えたいと覚悟されます。
この現状はなかなか伝わりにくいものですが、スタッフの感情から殺処分の現実がリアルに伝わってきます。
猫だって犬だって、頼れるものは目の前の飼い主だけ。怖い、寂しい、そんな思いが伝わってきて胸が締め付けられます。
悲しい命を増やさないために必要なこと
猫を手放すことにならないために、必要なのは「理解」と「覚悟」です。
以下は猫を迎える前に実践してほしい内容です。
・猫についてしっかりと学んでおくこと
・猫を迎えることについて家族と話し合うこと
・自分に何かあっても猫を守れる環境を作っておくこと
・この先20年を見据えて飼い始めること
20年間は思っている以上に長く、
その間に私たちの生活面・経済面は変わる可能性があります。
その時に対応できるように備えておきましょう。
自分の何が変わっても、一度飼い始めた子は家族です!自分に不都合が起きた時に、家族である飼い猫を手放すことを考えるようであれば猫を飼う資格はないと思います。
猫の殺処分と原因について;まとめ
✓猫の殺処分は2万7千頭ほど。保護活動により殺処分数は低下しつつある。
✓保健所への持ち込みは「繁殖により増えた」原因が最多であるが、所有者不明の猫は飼い主側の理由により捨てられた猫が多い。
✓殺処分を増やさないためには、猫を理解すること、覚悟して飼うことが必要。
殺処分は低下してきているとはいえ、まだまだ多いのは事実です。
ペットショップで生体販売されているということは、お金さえあれば命が買えてしまうということ。
その場の勢いで購入するのではなく、この先20年を見据えて自分の家族を迎え入れる選択をしてほしいと思います。